菊川結衣さんの稽古を撮影したのは今回が初めてではなく、およそ1年ほど前に新・空手道の取材が初めての撮影だった。私が彼女について前もって入手していた知識は、小柄ながらも、フルコンタクト空手の選手権を何連覇もしていて、とにかく強い！そしてかわいい！と言う事だった。もちろん私の関心は、空手競技に興味のある一般の人が持つであろう部分、つまり彼女が一体どのような稽古をして強くなっているのか？と言う事に尽きるわけだが、私も男である。かわいい女の子を見たいという欲望と関心も持っていた事をここで正直に告白しておこう。もちろん実際に彼女はカワイイかった。ぱっと見、彼女がもし空手着を着ていなかったら空手家であると言う事を悟る人がいるのだろうか？ましてや最強の連覇チャンピオンだと言う事を！しゃべり方とか雰囲気も可愛かった。

………で、初めて西山道場の稽古を見た時に私は唖然としました。

「確かにこれは………」

  　極真会館が採用していた国際空手道連盟のルールは極真系の団体だけでなく、現在様々な団体が取り入れ、独自の選手権を主催したりして直接打撃系空手の競技としては最も普及したルールだと思う。微妙なルール変更は将来あるかもしれないが、言って見れば競技の完成系。このルールで勝つ方法も様々に研究され尽くしていると思うし、競技人口や選手層は他のスポーツや武道競技と比べても遜色はない。とにかく何かしらの大会でこの競技に参加する選手は勝つための稽古に集中して行くわけで、そこには選手のやる気や素質、指導者の指導法など色々な要素が絡んでくる。

　完成された競技で、上位に食い込んでくる選手というのは技術や体力においては、もう大きな差はなく、また大幅なスタイルの相違などもなくなる。勝つための科学的に分析された戦い方で挑んでくる相手に、わざわざ実験的な方法論をぶつける事はまれであるし、上位に行く前に淘汰される。そういうミリ単位の緻密な勝負の世界で勝ち続けているのが今回取材した彼女なのだ。もちろんミリ単位の勝負事なので、勝ち負けはあるだろうが、彼女の実力はある意味ディフェンディングチャンピオンにふさわしいものだと思う。そんな彼女が育った道場の稽古って何だろう？今回のDVD企画の根本にはそれがあった。

　西山道場の選手クラスにおける稽古、特にミット稽古の一部を今回のDVD作品には収録した。この休みなく行われるミット稽古は、とにかく淡々と進行して行くのだが、全て試合での実戦を想定して組み立てられたコンビネーションであり、それを黙々と繰り返す菊川選手の姿を追った作品だ。この西山道場の稽古内容の構成は試合で確実に成績を残すため考え尽くされたものであるだろうし、驚異的なスタミナと精神力を養成する上での稽古である事は確かだ。彼女の強さの根源を支えている基礎はここにあるのかなとも思った。たぶんこれらの稽古は、現在の私などがやったら、2週間ほど寝たきりになる可能性があるかも。

　西山先生は、この菊川選手を自分の最高傑作だとインタビューで答えていた。そして、空手の大会でここまでの成績を収めるには、本人の努力と指導者の経験、そして家族の支えという三者の合致がないと難しいという事を言われていたが、まさにそうだと思う。

女子に限らず男子も含めて空手の大会に関わるかたはぜひ一度見ていただきたい作品だ。

　彼女のデビュー戦から最新の試合までを順番に収録しており、組み手の成長度を知る事も出来る。少しだが技術解説も入ってますよ。

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菊川結衣のキセキ　～女子空手の小さな巨人～ ＤＶＤ発売します！