空手を修行する者にとって、その人間が強さを真剣に求めれ求めるほど無視しがたい存在の格闘技がムエタイである。
日本人とタイ人とは体格が違う、風土が違う、ルールが違う。 日本人がタイのボクサーに勝てぬ理由を人は指摘する。
その どれもが真実の指摘であろうが、日本人でありながら、ムエタイのルールの中でムエタイの最強の選手を倒した男がいる。
藤原敏男
キック界に藤原の前に藤原なし、藤原のあとに藤原なしと謳われたこの最強の男に、我々は問うべきものが数多くあるに違いない。
今月は、その藤原敏男の技 術を、実際にスタジオに現 われたチャレンジャーたち との自由なファイトの中で 示してもらった。
戦いの中 で、戦いの技術を示すことこそ”戦いを制してきた男” 藤原敏男に最もふさわしい 方法だと思ったからだ。
戦いの頂上を制した男の技術と心が甦える。

藤原敏男プロフィール
1948年3月3日、岩手県生まれ。 21歳の ときに目白ジムに入門。1971年、初代全 日本ライト級王座を獲得。 1973年、元ボ クシング世界フェザー級チャンピオン西城正三を3R、KOで降す。1978年にはラジ ャダムナンライト級チャンピオン、モンサワン・ルークチェンマイを破り、日本人で初めてムエタイの王座を獲得する。また、同年、ラジャダムナン・ルンピニーの統一チャンピ オンであるシープレー・ギャッテソンポップをもKOで破り、新格闘術のライト級チャンピオンの座に君臨。1983年現役引退。戦績1戦1勝9KO1敗2引分け。現在、真武術 龍魂会 会長。