居合道にようこそ 第三回 居合道って真剣を使うのですか?

そうなんです。刀は「お刀様」という神様の化身なのです。居合の精神文化を守る為には是非共真剣を使い、真剣に「斯道(学問や技芸などで、この道、この分野)」を進んで頂きたいのですが、現代刀と呼ばれる明治4年以降の刀でも相当高価です。それによく切れるのが日本刀の醍醐味。とても危ない道具?なのです。そこで稽古には鞘木刀を使ったり、居合稽古用に合金鋳物で鍛錬してない「居合刀」と称する刀が、武道店で二万円代から手に入ります。鞘木刀なら8000円程度。稽古衣上下で25000円くらいです。

居合はまた、民族衣装・着付けの伝承でもありますので、筒袖の上着(稽古衣)と帯、袴が必要となります。全剣連居合を学ぶ人は上下白か黒の稽古着を着装する決まりがあります。

因みに白色の稽古着は夢想神傳の祖、中山博道が居合を稽古する者は心に一点の汚れがあってはならないと、神官の白袴を門人に着けて稽古させ、上下白の白装束は「死装束」なのでそのつもりで稽古しなさいと言われたそうです。ただ、実の所は紺や黒の稽古着では汚れが目立たず、洗濯せず不潔に成るので白と決めた様ですよ。然しながらその教えも次第に崩れ、現在では他流の人も含めて自分の好みの色の稽古衣を着ている様です。(全剣連居合は黒または白の上下と決められています)

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居合道にようこそ 第二回 何故、古流から現代居合に成ったのですか?

刀を表芸として名乗る流儀(グループ)は700流派とも1000流派とも言われておりますが、鉄砲の伝来で戦闘手法も変わり、明治維新の文明開化では侍の象徴の刀を差す事を禁じる廃刀令で、刀の時代は終わりました。剣術の流儀は細々と伝統文化として教え伝えられていましたが、第二次世界大戦に敗れ連合軍(米国)の命令で武術禁止令と300万振りのも文化財産でもある日本刀が没収され廃棄されました。現在残る刀は武器ではなく、美術品としての刀になりました。

明治維新後、刀は不用な物として、廃刀令が出され武術は衰退の道を辿りましたが、志ある士によって日本文化、民族伝統文化である武術、居合を各緒流儀合同で守り発展させようとする動きが生まれました。明治19年には西南戦争の反省から剣術が見直され、警視庁が各古流の技の粋を集めて10本の警視庁流抜刀術を制定。明治32年に武道の大本山の大日本武徳会が、大日本帝国剣道形を制定し、昭和29年に大阪の英信流宗家河野百練を中心に「全日本居合道連盟」が発足しました。その間に武道禁止令を乗り越え、武道ではなくスポーツ競技として「竹刀競技連盟」が認可され、全剣連が産声を上げたのです。先の戦争で一時途切れた、古武道界も古武道振興会から古武道協会が独立し、全剣連は居合を昭和44年に全剣連居合として各流派からの七本を制定としました。(現在は12本)

全日本剣道連盟に居合部会が発足し、居合の統一ルールを定め現代居合の中で最大グループとなっており、一級から八段迄のランクを作り免状を発行してます。ただ、残念ながら剣道はするが、居合は知らないという人が大多数であるのが現状です。

全剣連の技は座法・立業 計12本の制定技があり、2000年度の剣道連盟居合道部会会員は約90000人で、その内の約三割弱程度が女性で有ります。因みに剣道部会は166万人の人口ですので、まだまだ居合人口は低いと言わざるを得ません。

勿論、現代居合に留まらず古くからの教えを伝承文化、古流として居合を稽古研鑽されている方々も沢山おられます。

居合道にようこそ 第一回 居合っなに?

人から、ご趣味はと聞かれ「居合です」と答えますと、「いいご趣味ですね」とか「格好いいですね」とか、比較的好意的なご返事を頂きます。

中には「あの剣道の真似事を一人でするあれですね」とか「竹を切ったり、藁の束を切るあれですか」「長い刀を一瞬に抜くあれですね」「紋付で刀を振るうあれですか」とのご返事を頂く事があります。

何かのご参考までに、居合道について聞かれた事を思い出しながら、居合についてお話しさせて頂きます。

居合っなに?

居合は剣術(剣道)の一つなのです。居合は古くは居合術、抜刀術とも鞘の内とも呼ばれ、今から1200年程前に、祖林崎甚助重信が非業の死を遂げた父親の敵討ちのための修行で、奥羽の林崎明神に籠った100日目の夜、夢枕に白髪の老人が現れ、千変万化の刀法を重信に伝授したと言われます。彼はその刀法を会得し、遂に父を殺した敵を見事打ち取りました。その刀法こそが居合抜刀之術で有ります。重信以降は田宮流、伯耆流、英信流、無双流、重信流、夢想神傳流等多くの流儀が生まれ現在も脈々と伝わっていいます。

従来の剣術は鞘を抜いてからの刀法で有りますが、居合術は鞘を抜く迄に勝負が決まるので、一名「鞘の内」と呼ばれることがあります。居合は室町時代から続く武術ですが、現代では流祖の哲学、理合い技術等を守っている「〇〇流居合」と名乗るものを「古流」と呼び、明治以降に出来た全日本剣道連盟等が制定した居合を「現代居合」と呼んでます。居合人口の大多数が現代居合の愛好者で有り、その多くは全日本剣道連盟制定居合に集約されている様です。

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